加藤一の新規事業とそれ以外のこと

加藤一がつれづれなるままに書き綴ります。Web系ベンチャー視点で書くことが多いです。

PIXIV10周年記念イベントから数字を読み解く

PIXIVが無償でイラストレイターに対し作品を提供させ、集めた絵で13,000円の書籍を敢行しようとしたことで話題になりました。

ここで気になったのですが、PIXIVはクリエイターに対し買い叩きをしなければいけないほど困窮しているのでしょうか?

 

PIXIVの運営会社、株式会社ピクシブの経営状況をPIXIVの10周年記念イベントから数字を読み解いてみることにしました。

 

まず先に費用の方から。

ピクシブの従業員数は公式発表で156人です。

 > 従業員数, 156名 (2017年6月1日現在)

 

 

ざっくり一年で一人あたり1,000万円かかっているとして、15.6億円が運営費用として消えていることになります。

シード段階のpawoo、黒字を取れるのか怪しい画廊事業や、オニズシというどう見てもはやってなさそうなアニメ事業などもありますがこれを差し引いてもかなりの額が消えていっているのがわかります。

 

 

次に収益の方から。

ピクシブの主な収益源は3つです。

1つめが広告収入。

公式発表によると170億広告Imp。年間にすると2,000億になります。

あの規模であれば100PV 5円にはなるでしょう。となると軽く見積もって40億円程度の広告収入があります。

2つめが有料会員事業。

10周年イベントで社員の方から聞いたところによると、20万人程度の有料会員がいるそうです。

月額500円なので年額6,000円。

6,000円 x 20万人 = 12億円 / 年

程度の有料会員収入があります。

3つめがEC事業。

ピクシブはEC事業を、現在運営中の新品を扱うBOOTHとかつて行っていた中古フリマ事業の2つがあります。

BOOTHについては2014年のローンチ当時は最も成功した新規事業と言われており、現在は年商も10億円以上を超えていると、10周年イベントで社員の方が語っていました。

中古フリマ事業については子会社経由で運営していたアニバおよびセブンバイツから事業買収したアニマートがありますが、いずれもローンチや買収から短期間でクローズしました。

 明らかに初期費用の回収すらもできていなかった買収ですがどういう判断で経営していたかは謎です。

 

 コミック事業も経営していますが、これらはまだ初期費用及び運営費用を回収できるフェーズには入っていないと考えられます。これからの発展に期待したいところです。

アイドル事業については抱えているアイドル数を考えると少額の黒字〜中程度の赤字レベルの範囲と思われます。

 

トータルで振り返ると、収益の柱3事業で年間60億円以上の収益があり、一方で費用は20億円前後のため、営業利益で言えば40億円ほどの利益があると見込まれます。

しかし一方でBOOTHを除けばpixivに収益の大半を依存しています。

さらにpixivの月間PV数が26億と前年の公式発表28億を下回っており、衰退傾向がみられます。近年は国内からのアクセス減を中国や韓国、アジアからの流入で補っていましたが全体での減少傾向に転じているのは間違いないようです。

一方で収益については順調に伸びています。

これはサービスに表示される広告数を増やしたことで、アクセスあたりの広告収益短歌を上昇させたことが大きな要因とみています。

 

サービスそのものは衰退傾向で、それを補う第二の収益の柱は確保できないものの利益そのものは値上げによってかなりの額を確保しており、当分は安泰と言えます。

 

またピクシブは未上場かつすでにアニメイトホールディング入りを果たしており、すでにイグジットは果たしているため今後の上場は期待できません。

アニメイトホールディングについてはトップの高橋豊会長の下で子会社社長陣の刷新が行われているとの観測が流れています。

その中でもピクシブの片桐社長は特に次世代のホープ、新経営体制の要と言われていましたが、突然の辞任とDMMへの転出で世間の話題をさらいました。転出したことで新経営体制への参画は不可能になり、ピクシブのみへの関与と推測されています。

 

後半はアニメイトホールディングの公開情報の少なさから不確定情報が多いですね。

今日はここまでとします。