加藤一の新規事業とそれ以外のこと

加藤一がつれづれなるままに書き綴ります。Web系ベンチャー視点で書くことが多いです。

コインチェック社の件について(年度末編)

コインチェック社について以前に「税金が払えないから3月末に倒産する」「金融庁の横槍でそれが妨げられている」という真偽不明の怪情報がありました。 

 

仮に3月末に倒産するとすると、もはや猶予は木曜と金曜しかなく、本当に倒産するのか怪しい段階となってまいりました。 

一方で噂が本当ながら倒産が4月以降にずれ込んだ場合、税金として徴収されるはずの多額の金額が確保された後、(仮に怪情報が真実だとして)債務超過などで倒産&税金として抑えるはずだった金額が利用者保護の名目で還元、はあり得る話にも見えます。 

いまだ予断を許さぬままウォッチしていますが、さてこの話はどう結末を迎えるのでしょう。

コインチェック社の件について

いろいろ言われていますが、不確定なことも多いので断定は避けたいです。 

 

ただい言たいことは一つあって、大手企業によるコインチェック社の救済合併というプランには異を唱えたいです。 

理由はきわめて簡単です。 

日本国内で金融系の仕事をする点において、金融庁というものは神同然の権力を有します。 

これはメガバンク相手であっても変わりません。 

その金融庁が、コインチェック社に対して相応の注目をしている、という点です。 

もし金融庁が厳しい裁定をした場合、今後コインチェック社が現在有している業務に重大な影響を与えます。具体的にいうと現在できている業務すらできなくなるかもしれません。 

そんな厄ネタになるかもしれない話に、100億単位のカネを入れてまで大手企業が乗る理由があるでしょうか? 

自己資金で600億近くのカネを保証できないという点はもはや明らかです。 

そんな会社を買う理由があるか???と考えれば、「決断は金融庁の判断待ち」になることは自明です。 

みなさま。 

どうかもう少し落ち着いてください。

ニコニコ動画、最近よくなってない?

ニコニコ動画の改善速度が上がっていますね。 

いまでこそ仕事が忙しくてみていないのですが、ガチムチパンツレスリングやゆっくり実況を見て育った世代なので復活の兆しは嬉しいです。 

 

kawangoさんがCTOに就任した頃からよくなっているように見えます。  

当初見たときは、迷采配を疑ったものですが実際にはよいようになっていますね。 

 

優秀なPMを社長に据え流、というのはわかります。 

CTO就任は、実際には機能していないテクニカルマネジメント体制を刷新するための措置だったという噂も聞きましたがどうでしょう。 

2年で完了するはずだったリニューアルが6年かけて未完というのは明らかに何か問題があったように見えます。 

何はともあれ、うまく復活できるよう祈っています。 

IVS Fallに参加しました。

印象に残った話はNoteにまとめようと思います。 

Noteにまとめない方の話としてはpixivの伊藤社長さんですかね。 

話を聞いて名刺交換もさせていただいたんですが、想像とだいぶ印象の違う方でしたね。ピュアというか、論理よりも直感というか。 

今年いっぱいで異動はもう決まっている、という話も聞いたんですが全然そんなことのない話ぶりであの話は違うのかな?それともうまく隠しているだけかな?と思いました。

PIXIV10周年記念イベントから数字を読み解く

PIXIVが無償でイラストレイターに対し作品を提供させ、集めた絵で13,000円の書籍を敢行しようとしたことで話題になりました。

ここで気になったのですが、PIXIVはクリエイターに対し買い叩きをしなければいけないほど困窮しているのでしょうか?

 

PIXIVの運営会社、株式会社ピクシブの経営状況をPIXIVの10周年記念イベントから数字を読み解いてみることにしました。

 

まず先に費用の方から。

ピクシブの従業員数は公式発表で156人です。

 > 従業員数, 156名 (2017年6月1日現在)

 

 

ざっくり一年で一人あたり1,000万円かかっているとして、15.6億円が運営費用として消えていることになります。

シード段階のpawoo、黒字を取れるのか怪しい画廊事業や、オニズシというどう見てもはやってなさそうなアニメ事業などもありますがこれを差し引いてもかなりの額が消えていっているのがわかります。

 

 

次に収益の方から。

ピクシブの主な収益源は3つです。

1つめが広告収入。

公式発表によると170億広告Imp。年間にすると2,000億になります。

あの規模であれば100PV 5円にはなるでしょう。となると軽く見積もって40億円程度の広告収入があります。

2つめが有料会員事業。

10周年イベントで社員の方から聞いたところによると、20万人程度の有料会員がいるそうです。

月額500円なので年額6,000円。

6,000円 x 20万人 = 12億円 / 年

程度の有料会員収入があります。

3つめがEC事業。

ピクシブはEC事業を、現在運営中の新品を扱うBOOTHとかつて行っていた中古フリマ事業の2つがあります。

BOOTHについては2014年のローンチ当時は最も成功した新規事業と言われており、現在は年商も10億円以上を超えていると、10周年イベントで社員の方が語っていました。

中古フリマ事業については子会社経由で運営していたアニバおよびセブンバイツから事業買収したアニマートがありますが、いずれもローンチや買収から短期間でクローズしました。

 明らかに初期費用の回収すらもできていなかった買収ですがどういう判断で経営していたかは謎です。

 

 コミック事業も経営していますが、これらはまだ初期費用及び運営費用を回収できるフェーズには入っていないと考えられます。これからの発展に期待したいところです。

アイドル事業については抱えているアイドル数を考えると少額の黒字〜中程度の赤字レベルの範囲と思われます。

 

トータルで振り返ると、収益の柱3事業で年間60億円以上の収益があり、一方で費用は20億円前後のため、営業利益で言えば40億円ほどの利益があると見込まれます。

しかし一方でBOOTHを除けばpixivに収益の大半を依存しています。

さらにpixivの月間PV数が26億と前年の公式発表28億を下回っており、衰退傾向がみられます。近年は国内からのアクセス減を中国や韓国、アジアからの流入で補っていましたが全体での減少傾向に転じているのは間違いないようです。

一方で収益については順調に伸びています。

これはサービスに表示される広告数を増やしたことで、アクセスあたりの広告収益短歌を上昇させたことが大きな要因とみています。

 

サービスそのものは衰退傾向で、それを補う第二の収益の柱は確保できないものの利益そのものは値上げによってかなりの額を確保しており、当分は安泰と言えます。

 

またピクシブは未上場かつすでにアニメイトホールディング入りを果たしており、すでにイグジットは果たしているため今後の上場は期待できません。

アニメイトホールディングについてはトップの高橋豊会長の下で子会社社長陣の刷新が行われているとの観測が流れています。

その中でもピクシブの片桐社長は特に次世代のホープ、新経営体制の要と言われていましたが、突然の辞任とDMMへの転出で世間の話題をさらいました。転出したことで新経営体制への参画は不可能になり、ピクシブのみへの関与と推測されています。

 

後半はアニメイトホールディングの公開情報の少なさから不確定情報が多いですね。

今日はここまでとします。

マネーフォワードのIPOの新株予約権の構成を調べてみた

新規上場したマネーフォワードの有報に出てきた多数の新株予約権取得者について、気になったので調べてみました。

結論から言うと、従業員にもストックオプションを配っている一方で大量にいる社外協力者すなわち会計事務所のトップの方にもストックオプションを配っているのが特徴です。

 

# 調査の方法について

調査資料は有価証券報告書を使ってます

プレスリリース「マネーフォワードが上場しました(東京証券取引所マザーズ市場への上場承認に関するお知らせ)」

 

# 調査の対象について

マネーフォワードは8回の新株予約権の発行をしています。

対象者が多いので各回ごとに500株以上の取得権利を有している人間だけを調べました。名前の横に役職について記述してあります。

 

## ざっくり言うと

### 新株予約で500株以上取得している人たち

1.辻さんをトップに立ち上げメンバー

2.そしてそれ以外の取締役

3.子会社取締役や執行役員

4.その下の本部長および部長クラス

5.さらにその下のプロダクトオーナーなどのプロダクトの責任者クラス

という構成です。

「プロダクトオーナーなどのプロダクトの責任者クラス」はエンジニアが多いですが、これはエンジニアがプロダクトをドライブするという方針のせいだと思います。

 

### 他社と比較した場合

Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察

と比較した場合株を配る対象社員がとても多い印象を受けます。第六回では100人弱に100株単位で渡しているわけです。

管理職どころかある程度の社歴がある人間にはほぼ配っているのではないでしょうか。

 

### 特色として

職業税理士かつ社外協力者という名目の方が多いですね。

名前で調べてみると大手会計事務所の経営者であることがわかります。

 

### 実際並べてみると?

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ほぼ大手会計事務所の税理士さんが多いのが3回目の特徴ですね。

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### それで実際どれくらい儲かるの?

新株予約権とは「決まった額で株を買う権利」が与えられる制度です。

それを売り注文をかけることで「株を安値で買い、即座に高い市場価格で売る」ことで利益を得ることができます。

 

ではいくらで買えるか?というのを行使価格というのですが有報によると以下の通りです。

第1回 _24円

第2回 200円

第3回 350円

第4回 350円

第5回 550円

第6回 550円

第7回 1,500円

第8回 750円

第9回 750円

 

次にいくらで売れる?という点です。

想定価格1,330円となっていますが期待の大きい銘柄なので2,000円くらいまではすぐあがるんじゃないの、と思っています。

 

たとえばCTOの都築貴之さんの場合

3,900,400株を1745,300,000円で取得して ([第4回分 1000株 x 2000分割 x 350円 + 第6回分 950株 x 2000分割 x 550円 + 第8回分 (400株 x 750円)])

平均2,000円で売りさばくと約6億円強の利益になります。

(ロックインがありますし、CTOが上場直後に全株売るはずがありませんし、もし売ったらドン引きですがその点は無視します)

 

第6回で100人弱に配られた時に、仮に100株もらっていたら3000万円くらいの利益、1,000株なら3億円くらいですね。

 

長くなってしまいましたが今日はここまでとします。

ウォンテッドリーの上場に思うこと。誰のための上場か。

ウォンテッドリーの上場について、思うところはあります。

確かにいろいろ渋いところのある有報でしたが、所詮一部の人が騒ぐだけの話だったと思っていました。

ところがDMCAという言論弾圧に出たことでタイで全裸で騒いだ会社と同レベルにまで落ちてしまったことは残念に思います。

 

さて多くは語りませんが、ここで書きたいのはあの強引さのある上場は何のために行ったか、という点についての推測です。

あの上場で得をするのは、ほぼ仲さんとサイバーエージェントの二者だけです。

ところがあの売り出し額を見れば、仲さんは貴重な株を他人に渡したくないのは明白です。

70%保有という恐ろしい量の株を持っていて、それをまだ今のバリュエーションでは他人に渡したくない、だから最低限しか売りたくない。

そんな本人の心境が見える気がします。

先日上場したマネーフォワードのオーナー社長の辻さんの保有比率の20%と比べれば70%がいかに高いかは明白です。

 

となると売りたいのはサイバーエージェントしかありえません。

ではなんのためでしょう?

Facebookが採用に参入すると見てのタイムリミットを控えた上場あるいは損切りにも見えますが、申請時点では将来性はそこまで悪くないはずなのでそれは少し怪しいです。

となると「早期の現金化」ではないかと思っています。

 

サイバーエージェントのVC部門が多額の現金を欲しがる理由とはなんでしょう?

大型買収あるいは資金調達の話があるか、あるいは何か金食い虫の投資先があるか、です。

AbemaTVあたりが関係しているのかと思うのですが所詮は推測ですね。